2016年3月7日 更新
「薬膳デトックス」に欠かせない3つの食材とは?
実は親密な薬膳とデトックスの関係
「薬膳」+「デトックス(detox)」という、一見すると斬新そうな、まるで異質のもの同士を組み合わせたようなワード「薬膳デトックス」。なのですが、実はまったく目新しいものではありません。なぜなら、そもそもデトックスは、古来から薬膳の十八番だからです。
薬膳という医療・学問の体系のベースとなっている中国伝統医学には、治療におけるもっとも根本的な考え方のひとつに「扶正去邪(ふせいきょじゃ)」というものがあります。意味合いとしては「体が本来持っている免疫力、抵抗力などを高めることで、体内の余分なもの(邪)を取り去る(去)」という感じになります。
つまり、「毒素や老廃物など体内の余分なものを排出する」という健康・美容のジャンルにおけるデトックスの考え方は、すでに中国伝統医学が古くから行ってきた治療の一手法といえるのです。
健康とはプラスマイナスゼロの状態
中国の伝統医学をはじめとする東洋医学の考え方は、難解だと思われがちですが、実は非常にシンプルでわかりやすいものです。たとえば、先述した「余分なものは出す」と同じ発想があらゆる治療行為の根底にあります。
具体的にいうと、「足りない状態であれば補う」「熱い状態であれば冷やす」「冷えている状態ならば温める」「乾燥していれば潤す」「湿り過ぎたら乾燥させる」etc.
要するに「余分なものは出し、足りないものは補う。過剰でも、不足でもなく、プラスマイナスゼロの状態が健康である」というのが治療における基本的なスタンスです。こうした相反する概念は「陰陽」と呼ばれ、これも東洋医学全般の根本をなす考え方となっています。
ではいよいよ、薬膳におけるデトックスな食材の代表選手を挙げていきましょう。
これがオススメのデトックス薬膳食材
数多くのデトックス食材のなかでも、今回は身近で、かつ比較的効果が高いとされているものをピックアップしてみました。
■デトックス食材その1 バナナ
清熱類(せいねつるい)に分類される食材で性質は「寒」。体の中の余分な熱を取り去る働きがあるほか、腸を潤わせることで熱性の便秘に効果的。ほかにも高血圧や動脈硬化にも有用な作用を持つ。
■デトックス食材その2 ヨクイニン(ハトムギ)
去湿類(きょしつるい)に分類される食材で性質は「涼」。体の中の水分代謝を調節することで、余分な水分を排泄する働きがある。全身的なむくみや頻尿に効果的。また、肺の水分代謝にも関わることで咳を抑える働きも有する。
■デトックス食材その3 パイナップル
瀉下類(しゃげるい)に分類される食材で性質は「微寒」。胃腸の運動を亢進させることで排便を促進させる働きを持つ。便とともに余分な水分も排泄するため、むくみにも有効とされる。
注)今回紹介した食材は、いずれも基本的に「冷やす性質」であることから、冷えが強い人や胃腸が弱い人は、控えるか、取り過ぎないことが望ましいでしょう。
執筆:岩井浩